寝ているときの姿勢のことまで語る必要があるのか、と驚くかもしれない。姿勢といっても、お尻を下にしてベッドに身体を預けたら、あとは勝手に決まると思っている人がほとんどだろう。寝ているときの姿勢が大切だとは、なかなか思わない。長いあいだ自然にやっていることだから、そう思うのも無理はない。
だが、寝ているときの姿勢は大切だ。それも、かなり重要だと言っていい。寝ているときは、背骨を安定させる姿勢をとることが大切だ。
カイロプラクターなら、背骨を走る中枢神経が体内の主要器官のすべてに直接つながっていることを教えてくれる。背骨が変に歪んで脳と身体の情報のやりとりが途切れれば、深刻な問題が慢性的に現れかねない。また、そういう問題のなかには、睡眠に悪影響を及ぼす根源となりうるものもある。
寝るときの姿勢にはいろいろあり、人はお気に入りの姿勢でぐっすり眠ろうとする。ヒトデのポーズ、落下のポーズ、戦士のポーズなど、ベッドで心地よいと感じる姿勢はたくさんある。
いろいろな姿勢があるといっても、実際に寝ているときにとる姿勢は一つか二つに落ち着く。図を見て自分がどの姿勢をとろうとするか、確認してみてほしい。
図のポーズはあくまでも基本形であり、さまざまなバリエーションが存在する。ここからは、寝るときのベストの姿勢について見ていくことにしよう。
仰向けが最良の寝る姿勢
専門家にどういう姿勢で寝るのが理想かと尋ねると、仰向けで寝るのがよいという答えが大半だろう。その裏づけとなる理由がいくつかある。まず、背骨にとって最適な姿勢は仰向けだ(厳密には気をつけるべきことがいくつかあるが、それは追って説明する)。
仰向けで寝れば、胃酸の逆流といった消化管のトラブルも起きにくくなる。また、美容に関心の高い人にとっても、仰向けなら顔の肌呼吸が遮られないので、吹き出物やシワが現れにくくなるというメリットがある。
その反面、仰向けで寝ると、いびきや睡眠時無呼吸を招くリスクが増大する。重力で舌の根本が下がって気道を塞いでしまい、正常な呼吸がしづらくなるのだ。また、仰向けになると喉の力がどうしても弱まるので、眠っているあいだに喉が閉じやすくなる。骨格の割に脂肪が多すぎても、喉の周りについた脂肪のせいで空気を正常に取り込めなくなる恐れがある。こういう問題を抱えている人は、余分な脂肪を落とし、仰向けではない姿勢で寝るほうがいい。
仰向けは、公正に見るともっとも正しい選択だ。とはいえ、いちばん快適な姿勢とは言い難い。背骨にとって安心な姿勢なのは間違いないが、次のような間違いを犯していると、睡眠にとって最高の姿勢とはならない。
枕が高いと背骨に悪い
ベッドを枕でいっぱいにして寝ている人がいる。飾りとして枕をいくつも置くのはかまわないが、寝るときにその全部を使う必要はない。仰向けに頭を乗せた枕が高すぎると、背骨の自然なカーブが歪んでしまう。そうすると、首や背中、頭に痛みが生じたり、もっとひどいことになったりする。また、枕という高い山を越えないといけないので、脳への血流も一晩中悪いままだ。
眠っているときは、頭があまり高くならないのが自然な姿勢だ。眠っているときは唯一、脳へ向かって血液を必死に送り上げなくてもいい時間である。枕が高くないと眠れないという人は、いますぐその習慣を改めてほしい。高い枕は、背中にも脳にも悪い。
くたびれたマットレスはNG
真面目な話、くたびれたマットレスで寝るくらいなら、床で寝るほうがはるかにマシだ。マットレスは本来、身体を支えるものだ。床のように支えが強すぎてもいけないし、ふわふわで支えが弱すぎてもいけない。だからといって、世界一のマットレスまでは必要ない。身体がマットレスに沈んだときに背骨の自然なカーブが歪まなければいい。
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